医療事件

キーパーソンの意向と延命措置をしなかった病院の責任

kentaro

東京高裁平成29年7月31日判決(医事法判例百選第3版、200頁)

89歳の患者が脳梗塞と診断され、経鼻経管栄養を開始していた。
患者本人は意思表示ができず、キーパーソンが延命措置を拒否したため、医師は延命措置を実施しなかった。
この延命措置不実施に対して慰謝料等の損害賠償請求がなされた。
結論は医師の責任はないと判断された。

判決の中では「キーパーソンを通じて患者の家族の意見を集約するという方法が不合理であるとは認められない。」との指摘の他に、反対意見を述べていたかどうか、他の家族の別の意見を敢えて隠すような行為をしていたかどうかなど、具体的な事実関係の有無を判断している。

本件では、病院の他に、キーパーソンの家族も訴えられていた事例である点で特徴がある。
また、本件のような場合、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html)が参照される。

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平井 健太郎
平井 健太郎
弁護士
大阪市で医療過誤事件(患者側)を中心に扱っています(全国対応)。 現在、訴訟9件を担当しています。
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