医療事件

確立した複数の療法に関する説明義務

kentaro

最高裁平成17年9月8日(医事法判例百選第3版、66頁)

医師が経膣分娩の方針を採用していたのに対し、様々なリスクの観点から夫婦から帝王切開術によって分娩したいとの希望があった中、経膣分娩を続行させ、重度の仮死状態で出生し、その約4時間後に死亡した事案

判旨

「帝王切開術を希望するXらの申出には医学的知見に照らし相応の理由があったということができるから・・(中略)・・、経膣分娩によるとの方針が相当であるとする理由について具体的に説明するとともに・・(中略)・・胎児の最新の状態を認識し、経膣分娩の場合の危険性を具体的に理解した上で、Yの下で経膣分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与える義務があったというべきである。」
「一般的な経膣分娩の危険性について一応の説明はしたものの・・」

コメント

  1. 患者側の希望が「医学的知見に照らし相当の理由があった」ことが前提にある判断であり、医学的に理由のない患者の希望の場合に当てはまる議論ではない
  2. 抽象的・一般的な説明では足りず、各患者に即した「具体的な」説明が必要である
ABOUT ME
平井 健太郎
平井 健太郎
弁護士
大阪市で医療過誤事件(患者側)を中心に扱っています(全国対応)。 現在、訴訟9件を担当しています。
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