民事訴訟法

DV支援措置で住所がわからないとき

kentaro

現代法律実務の諸問題<令和4年度研修版>(第一法規株式会社)から小田桐康仁民事訟廷管理官の「裁判所の送達手続の実務」を読みました。

特に参考になったのが、住民基本台帳法上のDVなどの支援措置の取扱に関する部分です。

加害者からの依頼で被害者に訴訟を提起する場合に被害者の居所が特定できないことが起こります。
弁護士による住民票などの職務上請求をしても判明しないような場合にどう対応すべきか。
訴状にはどのように記載することになるのか?

住基法上、DVなどの支援措置の関係で住所を調査することができなかったときには、訴状の当事者の表示としての被告の住所は「住居所不明」と記載します。そして、被告の住民票の写しがDV等支援措置の対象となっていて、被告の住所を調査することができなかったことを、資料を添えて別途報告書を作成するなどして、訴状と一緒に提出するという方法が考えられます。

裁判所が職権で送達場所を特定するために被告の住所に関して調査嘱託をして、回答を受けるという方法が考えられます。調査嘱託で得られた回答の結果や、調査結果に基づいて送達の手続をとった送達報告書などに関しては、DV支援措置の趣旨を踏まえて、原告側へは秘匿もしくは非開示というような運用をする場合が多いので、閲覧・謄写の請求をいただいても、その請求を拒絶するというケースが多くなってしまうのではないかと考えられます。

現代法律実務の諸問題<令和4年度研修版>(第一法規株式会社)195頁

すぐに遭遇するわけでないですが、支援措置などで住居所不明の場合の対応について、大変勉強になる内容でした。

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平井 健太郎
平井 健太郎
弁護士
大阪市で医療過誤事件(患者側)を中心に扱っています(全国対応)。 現在、訴訟9件を担当しています。
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