性的虐待・精神的虐待の事実が認められなかった事例
kentaro
弁護士平井健太郎のブログ
東京家裁立川支部の令和3年10月20日に判決が言い渡された離婚請求事件を整理します(出典ウエストロー・ジャパン)。
夫から妻に対し、婚姻関係が破綻し婚姻を継続し難い重大な事由があるとして離婚を請求し、子らの親権者を母と定めることを求めた事案。
争点① 婚姻関係破綻の有無
以上のことから、婚姻関係は既に破綻しており回復の見込みがなく、民法770条1項5号所定の婚姻を継続し難い重大な事由があると認めている。
争点② 有責配偶屋の抗弁の成否
これらの事情から、夫が妻を悪意で遺棄したものと認定した。
さらに、夫が別居から2か月も経っていない状態で女性を交際開始し、交際時点では婚姻関係が破綻していたとまではいえないとして、不貞を認めた。
以上より、婚姻関係が破綻したのは、夫が妻を悪意で遺棄し、不貞を行ったものであるから、有責配偶者に当たり、別居期間がそれなりに長くなっている(4年10月)ことを考慮しても、夫からの離婚請求は信義則上認められない。
本件は、夫から妻への離婚請求であり、親権者は夫も妻にすることを求めていた。
婚姻関係破綻のところでは、妻側からの一緒に暮らす旨の発言について、養育費の支払が確保されるのであれば離婚することを意味しているとして、なぜ暮らすと発言したのかという妻の心情に基づき認定している。
有責配偶者の点では、婚姻費用分担調停成立まで生活費を払っていなかった点を悪意の遺棄の一事情として認定している点に特徴がある。