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「乳幼児に対する頭部受傷による傷害致死等事案についての裁判例の分析研究」(判例タイムズ1511号87頁)

kentaro

「乳幼児に対する頭部受傷による傷害致死等事案についての裁判例の分析研究」(判例タイムズ1511号87頁)を読みました。

この論文は虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)に関する刑事事件裁判例を中心にまとめられたものですが、医師証人の信用性判断については、民事の医療過誤事件でも共通する部分があるのではないかと思います。

医師証人の信用性判断について

医学の専門家ではない裁判体にとっては、そもそも医師の証言を理解することからして容易ではないところ、医師証言が対立する場合はこの傾向が顕著であり、信用性判断に悩む事例は少なくない。

判例タイムズ1511号89頁

民事事件においても、最終的に判断を下す裁判官は医学の専門家ではありません。
もちろん、医学に関して調べた上で判断することにはなりますが、医師の意見が対立した場合の判断は容易ではないと思います。
裁判手続を進めるにあたっては、裁判官であっても医師の証言を理解することから容易ではないという点を踏まえて、丁寧な主張立証が必要になってくると考えます。

まず、当該医師の公平性(検察より、弁護よりといった偏頗性のないこと)に加え、知識、経験や証言を行う分野についての専門性を論じている。証人の専門性は当該証言の信用性を認めるにあたって最低限の条件と考えられるが、この判断は時に容易ではない。

判例タイムズ1511号89頁

医師の専門性などは民事事件でも同様に重要になります。
相手から意見書などが提出された場合は、利害関係や専門性などを確認することになります。

信用性判断を争う際には、以下の点を意識することも必要です。

具体的には、個々の間接事実が認められるかどうかに争いがあるのか、それとも間接事実が認められることに争いはないとして、その推認過程に問題があるのか、弁護人が推認を妨げる他の間接事実を主張するのかなどの争い方を明らかにすべきであろう。

判例タイムズ1511号91頁

他分野の論文であっても、民事事件において転用できる部分がないか意識しながら読み、参考にしたいと思います。

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平井 健太郎
平井 健太郎
弁護士
大阪市で医療過誤事件(患者側)を中心に扱っています(全国対応)。 現在、訴訟9件を担当しています。
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