東京地方裁判所医療集中部における事件概況等(令和5年)
kentaro
弁護士平井健太郎のブログ
最高裁平成14年9月24日(医事法判例百選第3版、62頁)
治療・延命の可能性はなく、疼痛に対する対症療法を行うしかない状態の患者について、患者本人および家族に告知しなかったことの適否が問題となった事案
※なお、あくまで平成2年当時の話であり、現在とは大きく状況が異なる点は注意
判旨では
「診療契約に付随する義務として、少なくとも、患者の家族等のうち連絡が容易な者に対しては接触し、同人又は同人を介して更に接触できた家族等に対する告知の適否を検討し、告知が適当であると判断できたときには、その診断結果等を説明すべき義務を負うものといわなければならない。」
「適時の告知によって行われるであろうこのような家族等の協力と配慮は、患者本人にとって法的保護に値する利益である」
「患者の家族等と連絡を取るなどして接触を図り、告知するに適した家族等に対して患者の病状等を告知すべき義務の違反があったといわざるを得ない。」
解説では以下のように指摘されている
「真実の病名を患者への配慮から告げない、という規範(治療上の特権)は、もはやその裏付けを失いつつあるといえよう。」
「今後の告知は、病名告知の有無・是非ではなく、予後を含めた治療の内容についての十分な説明の有無の方が問題となってゆくだろう。」