医療事故全国一斉電話相談(令和6年8月24日(土))のお知らせ
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弁護士平井健太郎のブログ
東京高裁平成24年5月31日判決(医事法判例百選第3版、202頁)
慢性腎不全に罹患していた患者が、生体腎移植を行うために偽装の養子縁組などを行い最終的に臓器提供を受け、刑事事件となり有罪判決が言い渡された事案
犯罪の成立については争われず、主に量刑が争われている。
被告人は、「真に臓器移植を必要としていた」被告人が「臓器提供者の意思に反しない形で臓器売買に及んだ事案」などと主張していたが
裁判所は「臓器移植の公平性は大きく損なわれている」「金に物を言わせて臓器移植を実現したものであり、その利己的で身勝手な犯行の動機に酌量の余地はない」などと判示している。
問題となった罪名
電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪(刑法157条1項、158条1項)
臓器売買罪(臓器の移植に関する法律11条2項・20条1項)
臓器の移植に関する法律
11条2項「何人も、移植術に使用されるための臓器の提供を受けること若しくは受けたことの対価として財産上の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。」
20条1項「第11条第1項から第5項までの規定に違反した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」