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判決書の作成過程を考える

kentaro

「判決書の作成過程を考える」(大島眞一元大阪高等裁判所部総括判事)を読みました(判例タイムズ151・57頁)。

自分が気になった点は下記箇条書きで引用したとおりです。

わかりやすく書くことや、何に注意して検討すべきか、また実際に判決を書く際にはどのような書き方をすべきか、本論稿はあくまで判決書の作成過程について言及されたものです。
裁判官の思考から外れた主張立証を繰り返しても、判決作成の過程で考慮されないリスクが上がると思われます。
そのため、弁護士としても、裁判官の思考方法・判決作成の手順を頭に入れて、訴状や準備書面の作成に取り組む必要があると考えます。

  • 前から順に読んで、「当事者以外の第三者が理解できる」ようなものとすることが重要である。
  • 「事案の概要」の冒頭部分では「訴訟物」が分かれば足りる。
  • 「本件は、・・・事案である。」と一文にする必要はない。
  • 何も一文で書く必要はなく、いかに分かりやすく記載するかという問題である。
  • 争点は要件事実を意識して慎重に検討したほうがよい。
  • 抗弁、再抗弁等である場合には、それを明示して、判断の構造が分かるようにすべきである。
  • 証拠調べを終えて判決を書く段階になると、心証が形成されており、あるいは改めて記録を検討して心証を形成し、結論を決めてから書き始めることになる。そうすると、まずは、「争点」から判断を書くのが良いと思う。
  • 証拠から導かれる根拠となる事実とそれが根拠になる理由を分かりやすく記載する。単に事実を拾い上げて、「以上の事実を総合すると背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある。」とするのではなく、なぜその事実が根拠になるのかを書くことが大切である。
  • 双方の供述の信用性が主たる争点の場合には、動かし難い事実との整合性を中心に、証言内容の合理性等に基づいて判断することになる。
  • 「判断」で使っている事実のみを認定すれば足りるが、それだけでは意味が通じない部分もあるので、前後の事実を認定し、意味が通じるようにするのである。
  • 長々と「当事者の主張」が続く判決書が多い。当事者の主張を長々と記載することによって、かえって当事者の言いたいことが分からなくなってしまいかねない。「当事者の主張欄」は、要点のみを簡潔に記載すれば足りる。
  • どう考えても客観的な証拠はないだろうという事案については、「客観的な証拠はない」ことを根拠として挙げるべきではない。
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平井 健太郎
平井 健太郎
弁護士
大阪市で医療過誤事件(患者側)を中心に扱っています(全国対応)。 現在、訴訟8件を担当しています。
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