予備校教材転売に対する違約金条項が問題になった事案
kentaro
弁護士平井健太郎のブログ
最高裁昭和48年11月16日 民集 27巻10号1374頁
【概要】
被疑者として逮捕されている間に警察官から不法行為に対し、加害者の氏名や住所を確認するに至った時をもって、「加害者を知った時」と判断した。
【判旨】
「民法七二四条にいう「加害者ヲ知リタル時」とは、同条で時効の起算点に関する特則を設けた趣旨に鑑みれば、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知つた時を意味するものと解するのが相当であり、被害者が不法行為の当時加害者の住所氏名を的確に知らず、しかも当時の状況においてこれに対する賠償請求権を行使することが事実上不可能な場合においては、その状況が止み、被害者が加害者の住所氏名を確認したとき、初めて「加害者ヲ知リタル時」にあたるものというべきである。」
【メモ】
最高裁判所判例解説に記載されているのは以下の内容である。
判旨では2つのことを述べている。
①加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知つた時を意味する
②賠償請求権を行使することが事実上不可能な場合においては、その状況が止み
①は、加害者を知るとは、賠償請求の相手方が現実に具体的に特定されて認識されうる状態にあることを意味しており、加害者の姓名を知ることとイコールではない。
②では、賠償請求が事実上不可能な状態にあるときは加害者を知った時にあたらない、ことを述べている。