ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのキャンセル・転売禁止条項の有効性
大阪地方裁判所令和5年7月21日判決(出典裁判所ウェブサイト)について、普段取り扱っている分野ではないので、備忘程度にまとめます。
USJのチケットに関して、一定の場合を除き購入後のチケットのキャンセルができない旨の条項とチケットの転売禁止に関する条項の有効性が争われた事案です。
問題となる法律は消費者契約法9条及び10条です。
まず、チケット購入契約の法的性質ついて、民法に規定のない無名契約であると判断しています。
他方、準委任契約と任意解除権については、「チケット購入契約を準委任契約ないしそれに準ずるものとみることは困難であるほか、任意解除権(民法656条、651条1項)を認める基礎となる当事者間の信頼関係があるとも見受けられず、チケット購入契約に任意解除権についての規定が適用ないし準用(又は類推適用)されるということはできない」と判示しています。
そのうえで、消費者契約法10条のいう任意規定にあたると認めることはできず、消費者契約法10条前段該当性を否定しています。
同法10条後段該当性については、チケット価格の高額化を防ぐという本件条項1の趣旨及び目的は合理的なものであること、現時点においてもこれを維持する必要性は否定されないこと、顧客による誤購入がないよう一定の配慮がされ、本件各条項の内容も複数回にわたって表示されるなど顧客もその内容を十分に認識して契約しているといえること、一部のチケットでは顧客の予定変更等に伴う日程の変更にも応じられていることなどを考慮して、信義則に反する程度に当事者間の衡平を害するものということはできないとして、同法10条後段該当性を否定しています。
また、転売禁止規定についても、消費者契約法10条への該当性が否定されています。
本裁判例では、テーマパークにおける契約の法的性質やキャンセル規定の解釈など、普段取り扱わない分野ですが興味深く読むことができました。